テンプレでも手作りでも使える!チケットを“仕立てて高める”加工の基本

チケットを触っていて
「なんかしっかりしてるな」「なんか高級っぽいな」
と感じることはありませんか?
その”ちゃんと感”は、
デザインだけで作られるものではありません。
印刷会社として日々いろんなチケットを制作していると、
「質が高く見えるチケット」には共通する加工のポイントがあると感じます。
・紙の厚さと質感
・ミシン目の深さ
・ナンバリングの入れ方
・表面加工やワンポイントの仕上げ方
どれも特別な技術ではなく、
仕様の選び方だけで一気に”チケット感”が変わる部分です。
この記事では、
テンプレートや手作りのチケットでも取り入れられるように、
“質が上がる加工のコツ”をシンプルにまとめています。
紙と厚さで変わる「チケットの手触り」

チケットの仕上がりは、まず紙厚と紙質で決まります。
同じデザインでも、紙を変えるだけで手触りや発色がガラッと変わります。
ここでは、その違いがどんな”質の差”になるかをまとめます。
1.紙の厚さで変わる「強度」と「印象」
紙の厚さは、
“どれくらいしっかりして見えるか”を決める大事な要素。
同じデザインでも、
薄い紙と厚い紙ではイベントの格すら変わるくらい印象に差が出ます。
● 70kg(コピー用紙くらい)
ほぼコピー用紙と同じ薄さ。
ヨレ・透けが起きやすく、
持った瞬間に”簡易チケット感”が出やすい厚さです。
→ 質感を重視するイベントでは基本NG。
● 90kg(少し厚めのチラシ)
コピー用紙よりわずかに硬い程度。
文化祭などで使われることはありますが、
もぎった時に折れ線が入りやすい厚さ。
→ チケットとしての最低ラインは確保可能。
● 110kg(厚手のチラシ~薄いカード)
“チケット感”が出はじめる厚さのライン。
腰があり、折れにくく扱いやすい。
→ 見た目の”安っぽさ”が消える最初のライン。
→ ミシン目との相性がよく、仕上がりが安定する。
● 135kg(冊子の表紙・DMくらい)
しっかりとした厚みで形が崩れない。
半券を切り離しても本体がヨレにくい。
→ 質感・耐久・扱いやすさのバランスが◎。
→ イベントの世界観を紙質で後押しできる。
● 180kg(ポストカード級)
はがきや名刺とほぼ同じ厚さ。
高級感はあるが、ミシン目が硬くなりやすい
→ 記念性を上げるための厚さ。
→ おしゃれイベント・作品展など”残す価値がある”場面で強い。
2.紙質で変わる「触り心地」と「見え方」
紙質は
手触り・筆記性・発色の出方を左右します。
同じ厚さでも紙質が変わるだけで、
高級/カジュアルの印象が一気に変わります。
● 上質紙(コピー用紙に近いマット紙)
光沢なしで最も”紙らしい”触り心地。
ボールペンや鉛筆がしっかりのる。
→ 手書きが必要な文化祭・学校イベントで”質の高い使いやすさ”を生む。
→ 落ち着いた印象で、読みやすさが抜群。
例 … コピー用紙・ノートの紙
● コート紙(ツルツルした光沢紙)
表面がツルッとしていて、発色が強く出る。
耐水・耐汗性も高い。
→ デザインの”映え”を最大化したいイベント向け。
→ SNSで写真が撮られやすいイベントとも相性は◎。
例 … 雑誌の表紙・ポスター
● マットコート紙(控えめなツヤの半光沢紙)
サラッと落ち着いた質感で、発色もキレイ。
上質より華やかで、コートより落ち着きあり。
→ 安っぽさが出ない万能紙。
→ 大規模ライブから企業イベントまで、質の高い仕上がりになる。
例 … カタログやパンフレットの本文紙
3.紙厚 × 紙質 の「質が上がる組み合わせ」
紙は単体でも差が出ますが、
厚さと質感の組み合わせで質感が跳ね上がる場面は多いです。
・上質紙 × 110kg
手書きが多いイベントで使いやすさの質が上がる。
・マットコート × 135kg
見た目と強度のバランスがよく、外さない高品質。
・コート紙 × 135kg
ビジュアルが映えて丈夫で、半券もキレイに残る
4.迷ったときの”質を外さない”基本指針
・書き込みが必要 → 上質紙 110kg
・見た目 + 扱いやすさ → マットコート135kg
・ビジュアル重視 → コート135kg
・記念用 → 180kg(ミシン目注意)
どうしても迷う場合は、
試し刷りで”手触り・発色・切れやすさ”を確認するのが最も確実です。
最近は送料だけで試し刷りを対応している会社もあるので、
「どうしても不安…」という人に非常におすすめです。
また、見た目を整えたい人は、コチラの記事も参考にどうぞ。
テンプレでも手作りでも使える!チケットを“きれいに見せる”デザインの基本
ミシン目で変わる「配りやすさ・回収しやすさ」

ミシン目は、チケットのちぎりやすさと仕上がりのきれいさを左右する加工です。
ここでは、浅め/深めの違いや紙厚との相性、入れる位置の考え方をまとめます。
1.浅めのミシン目(仕上がりをきれいに残したいとき)
浅めのミシン目は、
ちぎった後の本体がキレイに残る深さです。
「一度折り目を付けてから、ゆっくりちぎるタイプ」がこれで、
軽く引いただけでは切れない”あの質感”が特徴。
● 浅めのミシン目の強み
・切り口が整いやすい
→ギザギザが目立ちにくく、仕上がりの清潔感がでる。
・本体が裂けにくい
→破れ事故が起きにくく、厚紙がしっかりあるチケットと相性が良い。
・半券を記念に残すタイプのイベントに向く
→ ライブ、公演、展示など”残したい系”のチケットに最適。
【どんなときに浅めを選ぶ?】
・半券を記念として残すイベント
・厚めの紙(135~180kg)を使う場合
・見た目の”ちゃんと感”を出したいチケット
2.深めのミシン目(スピード重視のイベントに)
深めのミシン目は、
軽く引くだけでスパッと切れる深さです。
受付での「流れを止めない」ことが最優先のイベントでよく使われます。
● 深めのミシン目の強み
・もぎりがはやい
→ 「〇番のチケットお願いします~」で渡されて、すぐに切って進められる。
・薄い紙との相性が良い
→ 70kgや90kgの薄めの紙でも扱いやすい。
・大量配布・大量回収で強い
→ 文化祭、抽選券、ドリンクチケットなど”回転率が命”の運用に向く
【どんな時に深めを選ぶ?】
・夏祭り・地域イベントなど回収する枚数が多いとき
・受付を早くさばきたいイベント
・薄めの紙を使うチケット
3.紙厚とミシン目の相性
ミシン目の朝目・深めは、
紙の厚さと組み合わせで向き不向きが変わります。
● 70~90kg
深めだと本体まで避けやすい。
浅め寄りが安全。
●110~135kg
一番扱いやすい厚さ。
浅めで仕上がり重視、やや深めで受付スムーズ化、と使い分け可能。
●180kg
浅めでも十分切れるが、深くすると一気に裂けることがある。
浅め~中間の深さ & 試し刷り推奨。
4.ミシン目の位置の目安
ミシン目は 端から10~15mmが一般的です。
※ 縦長チケットなら8~12mm程度。
これは、指でつまみやすく力をまっすく伝えやすい、
外側の紙が十分残り本体が裂けにくいことが理由です。
5.迷ったときの”外さない基準”
最後に、実務的に外れにくい組み合わせをまとめます。
・記念性重視 → 110~135kg × 浅め
・受付スピード重視 → 110~135kg × やや深め
・薄い紙 → 浅め一択
・とりあえず迷ったら → 135kg × 浅め × 端から10~12mm
もっと確実にしたい場合は、
ミシン目の深さや位置を「試し刷り」で実際に確認すると安心です。
ナンバリングで上がる「管理のしやすさ・印象の整い方」

ナンバリングは、チケットの管理のしやすさと見た目の整い方を一度に上げられる加工です。
ここでは、ナンバリングを付けることでどういうメリットがあるのかをまとめています。
1.基本は「連番」を入れるだけで十分
もっとも使いやすく、どんな用途でも役に立つのが通し番号(連番)です。
ナンバリングと聞いてまず思い浮かべるのが、
「001,002,003…」と並んでいる、この単純連番だと思います。
● 連番を入れるメリット
・配布数がすぐわかる
・回収漏れや渡し忘れに気づきやすい
・終了後の集計がスムーズになる
→総じて、 運営しやすくなることが一番大きなメリットと言えます。
小規模なイベントや文化祭、地域イベントなどであれば、
連番だけで”管理の質”は十分あがります。
2.管理密度を上げたい場合は「2ヵ所ナンバリング」
もう一歩しっかり管理したい場合は、
チケット本体と半券の両方に同じ番号を入れる「2ヵ所ナンバリング」が便利です。
・本体:主催者側の控え
・半券:回収・入場管理
番号が一致しているかを確認できるため、
改ざん対策や当日の混雑防止に役立ちます。
特に、
・地域イベントの抽選券
・小規模ライブや演奏会
など、確実に回収したい場面で強みがあります。
3.迷ったときの「外さない基準」
・配布・回収の数を管理したい → 連番
・改ざん防止・照合したい → 2ヵ所ナンバリング
・イベント規模が小さい → 連番だけで十分
・抽選番号にも使いたい → 大きめの数字で1ヵ所明示
複雑なことは必要なく、
イベントの規模と目的に合わせて最小限の位置に印字するだけで十分”質”が上がる加工です。
偽造防止加工で変わる「見た目の本格さ・安心感」

偽造防止加工と聞くと「コピーされにくくするためのもの」というイメージが強いですが、
実はそれ以上に、見た目の本格さや信頼感をグッと引き上げる役割があります。
ここでは、2つの代表的な加工を例として、チケットの質が上がる理由を紹介します。
1.地紋(公式券のような”ちゃんとしてる感”がでる)
地紋とは、
チケットの背景に入れる細かい線や模様のことです。
銀行券・商品券にあるような、
細かい曲線や繰り返し模様をイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。
地紋が入るだけで、
・公式の券
・ちゃんとしたイベントの発行物
のような雰囲気が一段上がります。
【地紋の質上げポイント】
・背景に模様が入ると、安っぽさが消える
・細かい模様はコピーしづらいので安心感もプラス
・デザインに自然になじみやすく、イベントを選ばない
派手さはないけど、
「ちゃんと作りました感」を出したいときに最もコスパがいい加工です。
2.ホログラム(特別感・高級感を出せる)
ホログラムは、
角度によってキラッと光るシール・フィルムの加工です。
見た目のインパクトが強く、
貼ってあるだけで”本物感”が跳ね上がります。
【ホログラムの質上げポイント】
・プレミア感が一気に上がる
・手に取った瞬間に「特別な券」と伝わる
・偽造防止用加工のため、安心感も高い
※ 注意点
ホログラムは加工単価が上がりやすいため、
小規模イベントだとオーバースペックになることも。
他にも、一部だけつやを出したり、
角度によって光り方が変わるような加工もあります。
しかし、どれもコストが上がりやすいので、
必要な場面を考えて設計しましょう。
質を上げつつ”予算は抑えたい”ときのオススメセット

ここまで紹介した
紙の厚さ・紙質・ミシン目・ナンバリング・加工は、
全部そろえると確かにチケットの質は一気に上がります。
ただ、全部を盛るとコストも跳ね上がります。
そのため、「ここだけ抑えておけば十分見栄えが良くなる」
という組み合わせを最後にまとめておきます。
1.まず押さえておきたい”基本の組み合わせ”
文化祭や地域イベントの規模なら、
この3つだけで”安っぽくない仕上がり”になります。
ここから、開催予定のイベントに合わせて調整していきましょう。
紙:上質紙 110~135kg
→ ペラつきが消えて、手に取った時の”ちゃんとしてる感”が出る。
ミシン目:浅め1本
→ 受付で扱いやすく、切り口もキレイに整う
ナンバリング:1箇所
→ 整理しやすく、本物感が出る
2.見た目をもう少し上げたいときの + α
加工はコストがかかるので、
記念用や有料イベントのような、大きめのイベント向けです。
紙:マットコート135kg
→ 光過ぎず、落ちついた”イベントチケットらしい”質感になる
加工:ワンポイントで光る仕上げ
(角度でキラッと見えるタイプ)
→ 記念として残したいイベントに、雰囲気が一段上がる
3.質は”そこそこでいい”とき(大量配布・引換券など)
チケットそのものの質を求めない場合は、
使いやすさ重視で設計しましょう。
紙:上質紙 90~110kg
→ 軽くて扱いやすく、外でも問題なし
ミシン目:やや深め
→ 受付ですっと切れて、回転率が上がる
4.逆に、削っても質が落ちにくい部分
・複数個所のナンバリング
・厚紙過ぎる紙(180kg以上)
・複雑な偽造防止加工(コピー防止が目的でなければ不要)
ライトなイベントでは、
これらを削っても見た目の質はほぼ変わりません。
まとめ
チケットの質は、デザインだけでは決まりません。
・紙の厚さ
・紙質
・ミシン目の深さと位置
・ナンバリング
・表面加工や偽造防止加工
これらの項目をどう組み合わせるかで、
見た目・扱いやすさ・本体の残り方が大きく変わります。
小規模イベントなら
上質紙110~135kg × 浅めミシン目 × ナンバリング1か所
だけで十分な仕上がりに。
もう少し見た目を上げたいときは
紙をマットコートにしたり、
角度で光るワンポイント加工を入れるだけでも、質が一段階アップします。
逆に、配布量が多いイベントでは
薄めの紙や深めのミシン目に寄せると扱いやすくなります。
自分のイベント規模や目的に合わせて
“必要なところだけ”を選んでみてください。
Canvaのテンプレや手作りのチケットでも、
こうした加工の選び方を少し意識するだけで「市販品っぽさ」に近づけることができます。
もっと詳しくチケット全体の作り方を知りたい場合は、
こちらの記事にて全体をまとめています。